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さらに近くてもっと甘い
第11章 社内恋愛
彼女は、いつになったら慣れるのだろうか。
いや、慣れてしまう日が来てしまうのだろうか。
そんなことを気にしながら、要はベッドに腰を下ろすと、加奈子のマグカップ掴んだ。
「飲まない……?」
「………飲みます」
ゆっくりと体を起こした加奈子は、要の隣に腰掛けて、そのマグカップを受け取る。
「熱いからね? こぼさないようにね?」
要がやや強めに念押しするのは、もちろん加奈子に前科があるからだ。
「は、はい……っ」
以前シーツにぶちまけたことを思い出しながら、加奈子はマグカップの取っ手をしっかりと掴む。
こぼさないように、こぼさないように……
頭の中でそう念じながら、コーヒーをすする。
「……おいしい…」
ポツリと呟く加奈子を尻目に要も自分のコーヒーをすする。
「いつもと同じだよ?」
「うん……幸せだからですかね…」
「………そういうことは…照れずに言えるんだね」
「へっ……?」
なんか、まずいこと言ったっ……!?
慌てる加奈子の手元のマグカップの中のコーヒーが波打つ。
おっと…と声を上げた要はすかさず加奈子のマグカップを掴んで取り上げた。