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さらに近くてもっと甘い
第11章 社内恋愛

「えっ……あ!」


「危ないから、しばらく没収」



フッと笑った要は、自分のマグカップも一緒にサイドテーブルに置いた。


その様子を見て、加奈子はすみませんと頭を下げる。


危なかった……

ホント、副社長がいないと自分は何をしでかすか分からない。



「今日は、どうする?」

「え……?」

「天気がいいからね。少し遠出でもする? 車出すよ」


首にかけていたタオルを頭に被った要は、それをワシャワシャと動かす。



ドライバー姿の要を想像して、ぼんやりとだらしない顔を見せた加奈子は、夢うつつでいいですねぇ…と呟く。


「そのままどこかに泊まってもいいし」


乱れ髪の要に微笑まれてトクンと心臓が跳ねた加奈子。


魅惑のお誘いだ。


でも……




「ごめんなさいっ……明日はちょっと用があって……」


しょんぼりとする加奈子を見て、要は軽く目を見開く。



意外だ。

いつも、週末は一緒にいるのが普通になっていた。

特に束縛する気もないが……



「どこか行くの?」


「あ、はい。幸太郎くんと、メガネを買いに行く約束しちゃって…」



幸太郎────



その名前に要の胸がざわつく。


確か、加奈子が担当しているという新人…だったはずだが。





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