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さらに近くてもっと甘い
第12章 メガネデート
「要さん───…」
「はい」
黙っていた要は、真希に呼ばれて扉の方へと体を向ける。
「その分からずやに、あまり飲み過ぎないように伝えておいてくれますか…?」
「は…あ……」
「誰が分からずだ! 分かってないのはお前の方だ、真希!」
背後で、光瑠が喚く。しかし、真希はそれに聞く耳も持たずに、要だけの事を見つめると、よろしくお願いしますと頭を下げて、そのまま部屋を後にした。
ギィ…と古い屋敷ならではの音が響く。
そして、扉が閉まると、光瑠と要だけになった部屋はシンと静まり返った。
「………何を突っ立っているんだ。早く座れ関根」
コクと頷いた要は、光瑠の対面のソファーに腰掛けると、古畑が注いで置いていったグラスを掴んだ。
光瑠の好きな少し度数の高い洋酒。香りから、良いものである事がすぐに分かる。
「あなたも……学びませんね」
酒を一口飲んだ光瑠は、グラスを持ったまま要の事を静かに見つめた。
「なにが言いたい」
「どうせまた…くだらない嫉妬をしたんでしょう?」
「嫉妬じゃない」
すぐさま言い切った光瑠は再びグラスに口を付ける。
そして、午前中に病院に付き添った時の事を思い出していた。