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さらに近くてもっと甘い
第12章 メガネデート
光瑠は、病院が好きではない。
薬品の香りは愛する人々が去った過去をどうしても思い出させてしまう。
それでも、真希の定期検診に付き合ったのは、たまたま休日であったこともあるが、このまま全てを真希に任せているのは違うと感じたからだ。
医師が何を話そうと口を開くたびに、自分の望んでいない言葉が待っているのではないかと怯え、そして不安で堪らなくなり…
でも、医者は子どもも真希も順調であると言った。
ホッと息をついた自分の隣で、真希は幸せそうに微笑んでいて……。
それに安心して、光瑠の心も少し穏やかになっていたハズ…だったのだが。
「嫉妬じゃないんですか…?」
少しバカにしたような要の言葉に、光瑠はムッとした表情を見せる。
「だから違うと言ってるだろうがっ…! あいつが、誰にでも愛想を振り撒くから、警告してただけだ!」
「ほぉ…?」
警告…か。
んん…だが、どう考えても……
「ったく……! 俺が隣にいるというのにお構いなしで他の男と楽しそうに話しやがってっ…!」
………やはりこれは嫉妬だ。
呆れながら、要は光瑠がぶつぶつと文句を言っているのを聞いている。そして、すでに空になった光瑠のグラスに再び酒を注いだ。