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さらに近くてもっと甘い
第12章 メガネデート
グラスの中で、要の注いだ酒が踊るのを見つめながら、光瑠は、男に話し掛けていた真希の姿を思い出す。
───────あの……大丈夫ですか…?
真希の声掛けに、笑いながら頭に手をやった若い男。そして、真希に誘われるがまま、その男は真希の隣に腰掛けた。
その男の妻も検診中らしい。聞けばもう妊娠9ヶ月。自分たちと全く同じ状況であった訳だが……
──────そうなんですね! なんか、お友達が出来た感じですごく嬉しいです! ぜひ仲良くして下さい!
満面の笑みを見せた真希に、男が少しだけ顔を紅らめたのを光瑠は見逃さなかった。
言ってしまえば、たったそれだけの事で光瑠は苛立っているのだが……
「ずっと不思議なんですが……」
「なんだ」
「どこからどう見たって真希さんが愛しているのは社長だと言うのに…」
「───────…」
「そんなに苛立つ理由が僕には分かりません。 まだ不安なんですか?」
その質問は、自分でも分からない気持ちを解消したいという思いもあった。
加奈子は今、会社の後輩と2人で買い物に行っている。それに、胸がざわついて、いても立ってもいられずに、要は今日ここ有川邸に来たのだ。