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さらに近くてもっと甘い
第12章 メガネデート



はあ…と溜め息を付いた光瑠は、両膝に両肘をついて、頭を抱えた。




「………社長…?」



「とにかく、あいつは他の男に気をもたせすぎなんだっ……!」


「……真希さんは…そんなつもりないと思いますけどね?」


「だからタチが悪いんだろうが!! それに何度言っても全く直らない!!!」



突然喚き出した光瑠に、要は目を見開く。


何となく分からないでもない。


真希さんは本当に心優しい。それに正義感に溢れていて、人のためなら自分の犠牲を惜しまなくて──…


要自身も、かつてはそういった真希の優しさと強さに惹かれたのだ。あの微笑みに胸を高鳴らせた身からすれば何も言えない。


黙り込んだ要を見て、光瑠は、チッと舌を打ってグラスを乱暴に掴むと中に入っている酒を一気に飲み干した。



「笑顔は……俺だけに向けていればいい」




独占欲で塗れているのは分かる。元々光瑠はそういう性格だ。そして、何よりも手放したくない存在と出会ってしまった今、それは加速している。




「……大人しく……俺だけに愛されていればいいものを……」



光瑠の少し苦しそうな呟きが、要の胸にスッと入り込んだ。


バカバカしいと思うのと共に、何故か腑に落ちてしまったのは一体……






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