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さらに近くてもっと甘い
第12章 メガネデート

見透かされている。


完全に目くらましにあっていたが、相手は有川光瑠。くだらない嫉妬ばかりしている男であるのも確かだが、同時に由緒正しい有川家の当主で、大企業の社長であることを忘れてはいけない。


実際、要は光瑠ほど勘のいい男を知らない。



それは天性────


努力しても身につけられるものではない。



「……さすがですね」


「何年一緒に働いていると思っているんだ」


「ふっ……」



酒を呑んだ光瑠の仕草につられて、要も酒を一口呑んだ。


カッと熱い液体が喉を通る。




「……振られたか?」



少しだけ揶揄うように、光瑠が尋ねる。




「まぁ……そうですね。遠出をしようと誘ったんですけど、先約があるとかで」


「先約……?」


「別に僕は……何とも思っていませんけどね。加奈子の自由です。やりたい事をやればいいし、したいようにするべきだと思っています」




この期に及んで強がる要を光瑠はジッと見つめる。




「男か…?」



光瑠の問いに、要は表情を変えずに見つめ返した。




「……部署の後輩…です」


「質問の答えになっていないな。俺は、男なのか、と聞いている」



鋭い光瑠の眼光に、要は息を吐いて肩を落とすと、光瑠から視線を外した。



「まぁ……そうですね」



「ほお…?」



純粋に驚いた光瑠は軽く目を見開いた。



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