この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
さらに近くてもっと甘い
第12章 メガネデート
見透かされている。
完全に目くらましにあっていたが、相手は有川光瑠。くだらない嫉妬ばかりしている男であるのも確かだが、同時に由緒正しい有川家の当主で、大企業の社長であることを忘れてはいけない。
実際、要は光瑠ほど勘のいい男を知らない。
それは天性────
努力しても身につけられるものではない。
「……さすがですね」
「何年一緒に働いていると思っているんだ」
「ふっ……」
酒を呑んだ光瑠の仕草につられて、要も酒を一口呑んだ。
カッと熱い液体が喉を通る。
「……振られたか?」
少しだけ揶揄うように、光瑠が尋ねる。
「まぁ……そうですね。遠出をしようと誘ったんですけど、先約があるとかで」
「先約……?」
「別に僕は……何とも思っていませんけどね。加奈子の自由です。やりたい事をやればいいし、したいようにするべきだと思っています」
この期に及んで強がる要を光瑠はジッと見つめる。
「男か…?」
光瑠の問いに、要は表情を変えずに見つめ返した。
「……部署の後輩…です」
「質問の答えになっていないな。俺は、男なのか、と聞いている」
鋭い光瑠の眼光に、要は息を吐いて肩を落とすと、光瑠から視線を外した。
「まぁ……そうですね」
「ほお…?」
純粋に驚いた光瑠は軽く目を見開いた。