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さらに近くてもっと甘い
第12章 メガネデート
「そう思ってしまうのは仕方のないことだろう」
「その開き直った傲慢な姿勢も尊敬します」
「っ……黙れ!」
新しい酒を飲み干した光瑠の呼気が熱を帯びる。そもそもこのようなスピードで呑む酒ではないのだ。
「いつまでそうスカしていられるか、見物だな」
「スカしてなんかいませんよ」
「スカしているだろう。お前はもう少し自分の感情を表に出せ」
「……………」
目の端で何かを考え込むように黙った要を捉えて、光瑠は呆れたように軽く笑う。
「そんなに完璧でいる必要はない。もう少し人間らしさを見せても誰も失望しないぞ」
「ふっ………完璧、ですか」
そんなことはない。もし本当に完璧なら、こんな気持ちになるはずがないのだから。
「社長は……もう少し抑えた方が良いかと思いますが。これ以上は真希さんに失望されますよ」
「は…! 余計なお世話だ。俺よりも、あいつの無意識な男たらしを直すべきだ」
「………さすが、としか言えない考えですね」
「今さらだな。忘れるな、俺は有川光瑠だ」
「なるほど……」
ジッとにらみ合うように視線を合わせた2人。
そして、数秒後にどちらからともなくフッと笑った2人は、その後もしばらく酒を交わしていた。