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さらに近くてもっと甘い
第12章 メガネデート
目頭が熱くなっていく。
恋に落ちたばかりなのに、呆気ない失恋に思わず涙しそうになって幸太郎は堪えていた。
でもっ……“一応” とか、 いるの“かな” って言ってたしっ……
「うまくっ……いってないんですか……」
「え………っ?」
「あ、いや、あの……なんとなく、言い方がっ……」
少しの望みにかけた幸太郎。
彼女にその気がないことは分かっていた。でも、ここで終わりにしたくない。
「うーん……うまくいってるのかな?よく分からないや……」
首を捻った加奈子は、改めて要との関係性を考える。
今でも、まるで夢の中のようで……
「分からない……?」
「……なんていうか……本当に私でいいのかなっていつも思っちゃうんだよね……」
少し俯いた加奈子の姿を見て、幸太郎はゴクリと唾を飲む。
釈然としない反応に、いくべきか、いかざるべきなのか、それがよく分からないでいる。
「どんな人……なんですか?」
びくりと加奈子の体が震える。
まさか、副社長だなんて口が裂けても言えない。
もちろん言わなければバレることもないのだが。
「……王子様みたいにかっこよくて……優しくて……でも…たまに意地悪でっ……」
────────かわいいから、いじめたくなっちゃうんだよ
さらりとなびく黒い髪。
そこから覗く男らしい顔立ちは、たまに意地悪に微笑む──
「─────っ……」
「頭が良くて……完璧でっ…それに…」
「そ、そうなんですね!」