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さらに近くてもっと甘い
第12章 メガネデート

聞いていられなくなった幸太郎は、加奈子の言葉を阻むようにして相槌を打った。


ダメだ……自分の入り込む余地がない。


先輩は彼氏にぞっこんだ。


少し聞いただけで……そして、加奈子の表情を見ただけで幸太郎はそれが分かってしまった。



「……幸せ……ですね、先輩はっ……」


へへっと笑った加奈子は頬をかく。



「ありがと」


「………………っ…彼氏さんも、先輩みたいな素敵な人を彼女に出来て…羨ましいです」


漏れてしまう心の声。

俯きながら、どのようにこの気持ちを抑え込もうか、必死で幸太郎は考えている。



「そんなことないよっ……! 迷惑ばっかかけてて……。本当に私なんかが付き合ってていいのかなって…いつも思っててさ」



だからって、好きなのはやめられない。

加奈子も加奈子で、心の声が抑えられない。



「…………苦しくないんですか」


「え……?」


「その方といて……」



意地悪くなってしまっている。

その自覚が幸太郎にはある。




「そう……だね…。確かに……」



加奈子はそのあとハハハと笑った。


要副社長といると、毎回ドキドキしちゃってなれないし、胸が苦しくなってしまう……


慣れるかと思ったけど、全然慣れなくて……

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