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第12章 メガネデート

「い、いくら素敵でもっ……もっと落ち着く相手の方が良かったりっ…！」


「え…………？」



少し身を乗り出してきた幸太郎に、加奈子は驚きを隠せない。


その表情を見て、幸太郎はハッとして居直った。


うわ…っ…何言ってんだ俺っ……



「すみませんっ……。生意気なこと言いましたっ……」


「い、いやいや…」



しん──と、空気が張り詰める。


妙な展開になった。どうにかするべきだと思って、何とか頭を回転させた幸太郎は、あの…と加奈子に声を掛けた。



「ん……？」


「彼氏さんいるなら…俺なんかとこうやって会っちゃダメなんじゃ……」


ぽけっとした加奈子は、少し悲しげに微笑む。


「嫉妬したりとか……あんまりしない人だから……」


「え？ じゃあ今日僕と二人なの……彼氏さん知ってるんですか……？」


「う、うん…！」


「──────…」




男と二人で出掛けることを許すって……


自分だったら……と幸太郎は考える。



こんな感じではあるが、今まで女性経験が無かったわけじゃない。


昔のことを思い出して、やはり釈然としなかった幸太郎は、それって……と言葉を続けた。