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さらに近くてもっと甘い
第13章 入れ違いに入れ違い
────そんなに苛立つ理由が僕には分かりません。 まだ不安なんですか?
「──っ………………」
思い出される要の言葉。
釈然としていないとはいえ、こういう時、大体自分に非がある事は分かっている。
それでも素直になれないのが、中身がまだ子どもである有川光瑠の特徴だ。
─────もうすぐ父親になるっていうのに
分かっている。
分かっているが……
「ったく……腹が立つっ…」
チッと舌を打った光瑠は、ソワソワと部屋の中を歩き回る。
真希の優しさと強さに惹かれて…
それを独占したいと思ってしまうのは当然で……
──────私は光瑠さんの言いなりの人形じゃありませんから
自分の学ばなさに、だんだんと呆れてきた光瑠は、歩みを止めて激しく頭を掻いた。
そして、いてもたってもいられなくなり、ドアに向かう。
丁度昼だ。屋敷に戻って……それから、
『お前も悪いが俺も悪かった』と、そう伝えればいいだけの話だ。
そんな事を思いながら、勢い良く扉を引くと、うわぁぁっという奇声と共に、液体が降り掛かってきて、光瑠は大きく目を見開いた。