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さらに近くてもっと甘い
第13章 入れ違いに入れ違い
自分のミスなのに、上司である加奈子が必死に頭を下げているのを見て、幸太郎は胸を痛める。
いいところを見せたかったのに、逆に足手まといになっている……。
「………別にいい」
「でっ、ですが……」
「丁度今屋敷に戻ろうと思っていたところだ。それに、別にお前がぶちまけたわけじゃないだろう」
そう言いながら、光瑠は唇を震わせたままの幸太郎を見つめた。
その視線にハッとした幸太郎は、すかさず頭を深々と下げる。
「もっ、申し訳ありませんっ……」
「……あ、あの…彼、新人で…っ…。本当に悪気はなくてっ……」
あまりにビクビクしている2人の様子を見て、段々と腹が立ってきた光瑠は、あ?と声を発した。
「俺は何もしていないのだから、悪気がないのは当たり前だろうが!」
もっともな光瑠の言葉に、あ…と加奈子は声を発する。
「確かに…そりゃそうですよね…」
ふん…と息を吐いた光瑠は居直ると見定めるようにして幸太郎に近付いた。
「あっ…あのっ……」
怖いという気持ちと、これまで見た事がないほどのその美しい顔立ちに、幸太郎は声を詰まらせる。
その様子を見て、光瑠はピンと来たように片眉を上げた。
「……お前だな、ドジ男は」
「へっ……? あっ…」