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さらに近くてもっと甘い
第13章 入れ違いに入れ違い
丁度光瑠の背中が見えなくなり、加奈子は、へにゃりと脱力して肩を落とした。
マックスに機嫌が悪いときじゃなくてよかった……
もちろん、これまでひどい目に遭った訳ではない。
それでも、あの鋭い眼光で素っ気なく言葉を掛けられると体に力が入ってしまうのは仕方のないことだ。
「あのっ……田部先輩……っ」
隣で力なく幸太郎が呟いたのを聞いて、加奈子はハッとして背筋を伸ばした。
こういう時の教育係なんだから、もっとちゃんとして慰めてあげないとっ……
「あー……っと…。大丈夫?? びっくりしたでしょ」
「いやあのっ……」
言葉を詰まらせながら、幸太郎のテンションは徐々に下がっていく。
自分が情けなくて嫌になる。
いいところを見せたかったのに、むしろ迷惑を掛けて、そして今慰めてくれようとしてるなんて……
「本当にすみません……」
「えっ…! いやいや大丈夫だよ! あれは幸太郎くん悪くないよ!」
加奈子は慌てて幸太郎の背中を摩るが、幸太郎の気分は晴れない。