この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
さらに近くてもっと甘い
第13章 入れ違いに入れ違い
「こんなつもりじゃっ……。田部先輩の役に立ちたいと思ってやったのに……」
「ちょ、ちょっと幸太郎くん、そんなこと言わないで?」
「……あぁ…今もこんな風に気を遣わせてしまって……っ」
考えれば考えるほど、幸太郎は落ち込んでいく。
もっといい男がいるはず、とか言っておいて、こんな姿しか見せられてないのが悔しい。
「幸太郎くん、一年目なんだから出来ないのは当たり前なんだよ?」
屈んだ加奈子は項垂れる幸太郎の顔を覗き込む。
加奈子だからこそ、幸太郎が落ち込んでしまうのがよく分かる。
一年前は本当に散々で毎日泣いてばかりいた。
「二年目でも、こんなんだしね」
ハハハと笑った加奈子を見て、幸太郎は唇を震わせる。
「っ……田部先輩は…すごいですっ……」
「え、ええ!? なにが!?」
すごいなんて言われたことはこれまで一度だってない。
なんでそんなことを言うんだろうか……
幸太郎くんには、一体私がどう見えてるの…?