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さらに近くてもっと甘い
第13章 入れ違いに入れ違い

「こんなつもりじゃっ……。田部先輩の役に立ちたいと思ってやったのに……」


「ちょ、ちょっと幸太郎くん、そんなこと言わないで?」



「……あぁ…今もこんな風に気を遣わせてしまって……っ」



考えれば考えるほど、幸太郎は落ち込んでいく。


もっといい男がいるはず、とか言っておいて、こんな姿しか見せられてないのが悔しい。



「幸太郎くん、一年目なんだから出来ないのは当たり前なんだよ?」



屈んだ加奈子は項垂れる幸太郎の顔を覗き込む。


加奈子だからこそ、幸太郎が落ち込んでしまうのがよく分かる。


一年前は本当に散々で毎日泣いてばかりいた。



「二年目でも、こんなんだしね」


ハハハと笑った加奈子を見て、幸太郎は唇を震わせる。


「っ……田部先輩は…すごいですっ……」


「え、ええ!? なにが!?」



すごいなんて言われたことはこれまで一度だってない。


なんでそんなことを言うんだろうか……


幸太郎くんには、一体私がどう見えてるの…?

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