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さらに近くてもっと甘い
第13章 入れ違いに入れ違い
丁度お昼時。
エレベーターはいくつもあるにも関わらず、ボタンを押しても中々来ないことに、光瑠は苛立っていた。
おまけにスーツはお茶まみれ。
ジロジロと社員に見られているのが心地悪くなった光瑠はしびれを切らせて階段の扉を開いた。
「たくっ……」
ブツブツと文句を言いながら、華麗に階段を駆け下りていくと、あれ?と下から声がして立ち止まった。
「社長……。どうしたんですか、そのシミは」
同じく混雑回避に階段を上がっていた要は目を見開く。
数段下から見上げてくる部下に、ふんっと光瑠は鼻を鳴らした。
「……これは、お前のせいといってもおかしくない」
「は……?」
要は、光瑠の言っている意味が分からず首を傾げる。
その様子を真顔で見つめていた光瑠はそのまま、要の隣を通り過ぎる。
「────関根…」
「はい」
やはり、実際の要を改めて見て、幸太郎は敵でない、と光瑠は改めて思った。
それでも……
「少し、用心した方がいいぞ」
「…………何の話ですか?」