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さらに近くてもっと甘い
第13章 入れ違いに入れ違い
要は、先ほどとは逆に光瑠を見下ろす。
「社長は、言葉が少ない……」
「─────…」
「汲み取るのが本当に大変です」
振り返った光瑠は、ニコりと笑っている要を真顔で見つめる。
その表情を見て、要もつられたように笑顔から真顔になっていった。
「敵でない、と思ったが、どうやらあいつも本気のようだ」
「…………あいつ…とは……」
「うかうかしていると、いくらお前でも奪い取られるかもしれないぞ」
ハッとした要は、それは…と言葉を続ける。
何の話をしているのか、頭のいい要には分かってしまう。
「こうしている今も、危ないかもしれないな」
「っ………」
くるりと体を反転させた要は柄にもなく焦ったそぶりを見せる。
それを見て、光瑠ははぁ…と溜め息を吐いた。
「……俺の部屋の前だ」
「……………っ…」
「俺は着替えに屋敷に戻る」
それだけ言って、階段を降りていった光瑠を見て、要ははいと返事をすると、そのまま光瑠の部屋に早足で向かっていた。