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さらに近くてもっと甘い
第13章 入れ違いに入れ違い


「あの…これ…って…」


「クッキー!今朝焼いたの!」


「え……? 焼いたって…先輩が、ですか…?」



意外な趣味に、幸太郎は驚く。


ますます天使だ──…


美味しそうなその香りに昼食を食べていない幸太郎のお腹がぐぅと音を鳴らした。




「そうだけど…あっ、大丈夫だよ!」


「大丈夫って…?」


「ほら、ドジな私が作ったものだから、すごいマズいんじゃって気にしてるでしょ…?」




そんなことないですっ…!と言葉を詰まらせた幸太郎。


それは慌てたために言葉が詰まってしまったのだが、加奈子は取り繕ったと勘違いをしてハハハと笑った。




「私ね、クッキーだけは美味しく焼けるの! 唯一の特技だから、安心して」


「っ……心配してないですってばっ…」



ムッとした幸太郎に、加奈子はニコリと笑いかける。



「食べて…?」


「─────……」


「甘いもの、食べたら、きっと元気出るよ」



加奈子の言葉を聞いて、幸太郎はジッとクッキーを見つめる。


そして、そのままそれをゆっくりと頬張った。
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