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さらに近くてもっと甘い
第13章 入れ違いに入れ違い
「ちが……っ」
「……先輩…?」
言葉を詰まらせている加奈子を幸太郎はじっと見つめた。
なぜか紅らんだ顔につられるようにして、幸太郎も顔を紅らめた。
「副社長は…っ…怖くなんかないよ…!」
「…………」
「いつも笑顔で…誰にでも優しくて…それにっ…」
言いたいことはあるのに、中々うまく話せない。
副社長が誤解されているのも、嫌だし、様子がおかしかった副社長のあの態度も気になって仕方がないのが、加奈子の本音だ。
「副社長と…そんなに交流する機会ってあるんですか…?」
そういえば、社長も先輩のこと、よく知っているような話し方だったし、副社長も『田部さん』と呼んでいた。
大きな企業のトップ2は普通だったら中々会えないはずだし、正直うちの部署は目立つような部署ではないはずだけど…
「え…っあ、いや…そ、その…」
「………??」
幸太郎は、まさか加奈子と要が恋仲であるとは夢にも思わず、ただただはぐらかそうとしている加奈子を首を傾げて見つめていた。