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さらに近くてもっと甘い
第14章 新しい家族
らしくないことを続けるのは疲れるものだ。
肩を落とした光瑠は、自分らしくないことに少しストレスを感じながら、ジャケットを近くのベンチに置いた。
「それで…何をすればいい」
「えっとね…。じゃあ今日は隠れんぼね!!」
「隠れんぼ……」
世界の有川商事社長のこの俺が、10歳の義理の弟と隠れんぼかっ……
「じゃあ15秒数えるから、ひかる隠れて!」
「っ……! 隠れるのは俺かっ…!?」
そうだよ、と当然のように返事をした隼人は、不服を申し立てようとしている光瑠を完全に無視して目を瞑ると数を数え始めた。
「ちょっ…隼人っ…!どう考えても体の小さいお前が隠れる方が──」
「4……5……6…」
「っ……」
全く無視されていることに舌を打った光瑠は、諦めて庭の奥に向かって走り出す。
こうなったら、絶対見つからないよう本気で隠れてやる──…
ベンチに置かれたジャケットのポケットの中のスマホが震えていることに気付かぬまま、
父親になろうとしているこの男は隠しきれぬ大人気なさを存分に見せていた。