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さらに近くてもっと甘い
第14章 新しい家族
───────…
「真希さん大丈夫ですかっ…?」
「ええ」
「そうですか、僕に何か出来そうなことがあったら何でも言ってください」
額の汗をぬぐいながら、要はひたすらに光瑠に電話を掛ける。
かれこれ数十回と電話を掛けているが、一向に出ないことに慌てながら、何度も通話を試みていた。
何故出ない……っ
焦りがもろ顔に出てしまうのを堪えきれない。
「……光瑠さん出ないですか…?」
コクと頷いた要はそのまま車の中で、唇を噛む。
「すぐに…気付かれると思いますが」
焦っている要とは裏腹、真希は呑気にふふと笑った。
「光瑠さんたら、こんな時に、何をしているんですかねぇ…?」
「まったく…あなたは何故そんなに冷静なんですかっ…」
自分は何をどうしたらいいのか分からず、運転手に安全運転を心がけるように注意することしか出来ない。
それを不甲斐なく思っているというのに、当の本人はハハハと笑ってばかりだ。
「冷静じゃないですよ…? でも、なんか、パニックすぎて逆に落ち着くというか…」
「初めて聞きましたよ、そんな状態」
光瑠に再び電話を掛けながら、そんなことを言っていると、真希の顔が、突然に歪んで要はハッと息を飲んだ。