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さらに近くてもっと甘い
第14章 新しい家族
深く息を吸い込んだ真希の額に脂汗が滲む。
「はぁあっ……」
「真希さん…っ、ゆっくり、ゆっくり呼吸して」
思わずぎゅっと手を握った要の脳裏に光瑠の険しい顔が浮かぶ。
だが、そんなことを気にしている場合じゃないことは、真希の握り返す強さからも分かった。
「大丈夫ですっ…大丈夫」
「はぁっ…」
これまで見たことがないほど歪んだ真希の表情に、大丈夫と言いながらも焦りが募る。
社長と連絡が取れないのはもう仕方がない。
今は、無事に病院に真希さんを連れて行くことだけを考えるべきだ──…
「か、なめさんっ…もう着きますかね…?」
「はい、もうしばらくかと…」
「痛っ…はぁっ…」
無理に笑顔を作ろうとしている真希を見ても、要にはどうすることも出来ない。
「斉藤っ……急いでくれ…!」
車内には、真希の深呼吸と要の焦った声が響いていた。