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さらに近くてもっと甘い
第14章 新しい家族
────────────…
木陰に隠れていた光瑠は、はわぁ…と呑気に欠伸をしていた。
絶対に見つかるまい、としたせいで随分と庭の奥にまで来てしまった。
最早隼人がどこにいるかなど分かるはずもなく、ただただその大きな図体を木の影に隠す。
鳥のさえずりと、流れる水の音。
肌寒くはあるが、太陽が光瑠の体を温める。
最高の秋晴れの日。
予定外ではあったが、こうしてたまに自然の中でまったりとするのも良いかもしれない…
そんなことを考えながらも、癖で時間は気にしてしまう。
無意識に腕にはめている時計を眺めた光瑠は思ったよりも時間が経っていることに驚いて、目を見開いた。
「まずいな…」
昼休みの時間などとっくに超えている。
まぁ、関根には一度屋敷に戻ると伝えてあるし、大丈夫だと思うが…。
一応秘書である酒田に一報を入れておこうと思った光瑠は、ジャケットのポケットに入っているスマホを取り出そうとした。
が──
「……しまった」
ジャケットは、先ほど脱いでベンチの上に置き離したままであることに気付いて思わず言葉を漏らした。