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さらに近くてもっと甘い
第14章 新しい家族
─────────────…
思わず、手に力が入る。
苦しそうなのに、何も出来ることがない。
経験したことがない状況を目の当たりにして、要は男の無力さを痛感した。
痛いと叫び、顔を歪ませる真希。
無事に病院に着いたのも束の間、
陣痛の感覚も徐々に狭まってきているようで、
悲鳴をあげる頻度が多くなってきている。
その度にどうしたらいいものか、と要はあたふたしているのだが、やはり出来ることが何一つなく、あたふたするだけで終わってしまう。
「真希さん……何か、して欲しいこととかあったらなんでも言ってください」
少し落ち着いてきた時にそう話しかけると、真希は力なく笑った。
「大丈夫…です。というか……お忙しい中、私のために申し訳ないです」
「そんな、こんな時まで謝らないでくださいよ!」
だって、と言って笑う真希を要はじっと見つめる。
「それにしても、肝心の"お父さん"は何をしてるんですかね…」
要はスマホを取り出して時間を見る。
もうそろそろ来てもいい頃だが………
「光瑠さんは……きっと、パニックを…起こしてるんでしょうね」
ふふと、笑った後、真希はまたすぐに顔を歪ませた。
またお腹が痛むようだ……
周りの看護婦たちは、慣れているからか、慌てる様子もなく真希の様子を見ている。
「さぁー有川さん! そろそろ移動しましょうか! 赤ちゃんが出たがっているので」
ついに……っ
要が目を見開くと、真希は力なく要さん…と呼んだ。