この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
さらに近くてもっと甘い
第14章 新しい家族
「はい、なんでしょうか」
慌てて立ち上がった要は、運ばれようとしている真希のそばに立つ。
「光瑠さんが来たら…っ……」
「え、えぇ」
「大丈夫だから、落ち着いて、ってっ……そう伝えて……はぁっ…」
「分かりました」
この期に及んで光瑠の心配をする真希に、要は軽く笑う。
要の返事を聞いて安心したような顔をした真希は、よろしくとばかりにコクリと頷いた。
「真希さん……頑張って…!」
「はいっ…」
遠ざかっていく真希。
いよいよ…いよいよだ…。
自分の子というわけではないのに、
今まで経験したことがない緊張感に、要は自身の拳をぎゅっと握った。
無事ですように。
必ず無事に。
強くそう願いながら、要は分娩室外のベンチに腰をかけ、意識的にふぅーと深呼吸をした。
中から聞こえる声や音。
何が起きているのかが分からずにどれだけ深呼吸しても不安が募っていた。