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さらに近くてもっと甘い
第14章 新しい家族
「んっ……あ、あぁ、ああ。」
「なにしてるの! 早くおねえちゃんと赤ちゃんに会いに行こうよ!!」
ワクワクが止まらない隼人は目をキラキラとさせている。
そんな様子を見て、そうだな、とようやっと言葉を発した光瑠は、恐る恐る部屋の中へと歩みを進めていった。
ガチャガチャと、片付けなのか器具の音が響く。
荒い息を整えながら、身を横たえる真希の姿が奥に見える。
「おねえちゃん!!」
すかさずそばに駆け寄ろうと隼人が近付くと、
声に反応して真希が力なく顔をこちらに向けた。
見たことがないほど、疲弊した表情。
でもどこか柔らかくて、温かい………
「……はやと…」
何とか隼人の名を呼んだ真希は、ニコリと微笑む。
苦しい。
いや、悲しい。
それは違う。
今胸の中に広がっている感情に名前が付けられないまま、光瑠はゆっくりと真希に近付いていった。
「……まき…」
「ひかるさん……」
ふふふと笑う真希の頬に手を伸ばす。
「もぉ……"おとうさん"……来るの、おそいんだから……ねぇ…?」
「────────…」
真希の頬に触れながら、
隣で眠る小さな小さな存在に目を移して、ゴクリと喉を鳴らした。