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さらに近くてもっと甘い
第15章 副社長様のクッキーと甘いお仕置き
「あぁーーっと…」
幸太郎がもう一つのティーカップに視線をやっているのをみて、加奈子は誤魔化そうと言葉を探す。
言い淀む加奈子に、幸太郎は首を捻る。
こんな時間に誰かと約束…?だろうか。
「こ、幸太郎くん良かったらどう…?」
「えっ……?」
思いもよらぬ誘いに幸太郎は胸を弾ませて顔を赤くする。
「いつも……誰かいたら捕まえようと思ってっ……ティーカップもう一つ用意して置いてるんだよねっ…」
焦った様子でニコリと加奈子は笑う。
おかしな言い訳だ。
もしこれが本当なら何て寂しい女なのか………
自身に呆れながら、幸太郎の様子を見る。
変に思われるかな……と思ったのも束の間、幸太郎はぜひっ!と声を上げてソファーに腰掛けた。
「あっ……! しかもクッキーまで!」
「う、うん、どうぞ食べて」
自分で虚しく食べるよりこうやって誰かに食べてもらった方がいいかな……
そんなことを思いながら、タッパーを幸太郎の方へ置く。
「嬉しいなぁ! 先輩、いつもここにいるんですか?」
目を輝かせる後輩に、加奈子は言い淀みながらたまにね、と返事をした。