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さらに近くてもっと甘い
第15章 副社長様のクッキーと甘いお仕置き
「いつも、ってわけじゃないけど……」
笑おうとするが、顔が少し引き攣ってしまう。
自分もそれに気付いた加奈子は頬をほぐすように、頬をむにゃむにゃと触った。
その様子を見て、幸太郎はニコリと微笑む。
一々の仕草が愛らしくて顔がだらしなくなってしまう───
そんな先輩と2人で過ごせるなんて……
嬉しさと緊張とトキメキで幸太郎の胸が鳴り止まない。
………でも、先輩、この前彼氏いるって言ってたな…
まだ頬をむにむにといじっている加奈子の横顔を見ながら、幸太郎は小さく息を吐いた。
「先輩……」
「ふぁっ…!な、なに!?」
奇声を上げる、加奈子を真顔で見つめながら、幸太郎はあの……と言葉を続けた。
「こんな遅くまで会社いたら……か、彼氏さんとかっ…心配しないんですか?」
最近の状況把握のためにそれとなく聞いたつもりだったが声がうわずってしまって、幸太郎はこめかみをぽりぽりとかいた。
不審に思われたかもしれない……という幸太郎の思いとは裏腹、要のことを突然聞かれて、加奈子こそ慌てていた。
「し、心配っ………いや、どうだろ…っ」
そもそもここにいるのは要のためなのだ。
なのに1時間も経った今、何も連絡がない。
切なくなった加奈子は、してないんじゃないかな、と小さな声で答えた。