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さらに近くてもっと甘い
第15章 副社長様のクッキーと甘いお仕置き

元気のない加奈子の声に、幸太郎は小さく震えていた。

こんなに可愛くて、こんなに健気なのに……

先輩にはもっと笑って欲しい。

そして………

出来れば自分がそうさせたい。



「田部先輩っ……あの……」


「なに……?」



意を決したような幸太郎の様子に、加奈子は首を傾げて見つめる。


「前も言いましたけどっ………やっぱり先輩、幸せそうに見えないですっ……」

「え……っ?」


拳をギュッと握って俯いていた幸太郎は勢いよく顔を上げて加奈子を見つめた。


戸惑った瞳。


またとない2人きりという状況────…



「他の男といても……嫉妬もしない…。夜遅くまで仕事しても心配もしないなんてっ……失礼ですけどそんな男ろくでもないです…!」


「……そ、そんなことないよっ…」


ろくでもない、なんて言葉はどうしても要には似合わない。


うまく伝えられずに誤解されていることに焦った加奈子は、違う違うと首を振るが幸太郎の勢いは止まらない。



「先輩はっ……もっと幸せになるべきです……! そんな男といるくらいなら…!い、いるくらいならっ……」


「こ、幸太郎くん……?」



突然両手をギュッと幸太郎に掴まれて、加奈子の背筋が伸びる。



「ぼ、僕と──────」



「───僕と? 何かな?」



突然降ってきた第三の声と荒い息遣い。


幸太郎と加奈子は、ハッとするとその声のする方に同時に顔を向けた。


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