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さらに近くてもっと甘い
第15章 副社長様のクッキーと甘いお仕置き
「ごめんね、連絡もしないまま遅くなってしまって」
幸太郎から引き剥がした加奈子の手を、要は大切にギュッと握りしめる。
加奈子はすでに言葉を発する事ができずに、ふるふると顔を横に振っていた。
「社長に電話をかけまくったせいで、スマホの充電が切れちゃってね」
充電切れちゃっただけか……
『社長に電話をかけまくった』という言葉そっちのけで加奈子はホッと胸を撫で下ろした。
「全然っ……事故とかじゃなくて、ほんとっ……よかったです…っ」
「心配かけてごめん」
はらりと耳から落ちた加奈子の毛の束を、要は再び耳にかける。
それに加奈子は胸をときめかせていると、要が満面の笑みを見せてきたのでさらに胸がトクンと鳴った。
「遅れた理由はね、真希さんを病院に送ってたからなんだ」
「病院………?」
と言いながら、ピンときた加奈子は、ハッと息を飲んだ。
「も、もしかしてっ…!真希ちゃんっ……」
目を見開く加奈子を見て、フっと要は笑う。
「あぁ、元気な女の子。母子ともに健康、そして社長は号泣してたよ」
わぁぁと声を上げて加奈子は目を輝かせる。
無事に生まれたんだ……真希ちゃん、頑張ったんだねっ…
要が遅れた理由も、電話が繋がらなかった理由も分かって、加奈子が満面の笑みを見せている横で、あの…と控えめに幸太郎が声を発した。