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さらに近くてもっと甘い
第15章 副社長様のクッキーと甘いお仕置き
失恋に、心を痛める幸太郎の様子を見て、要は目を細める。
気持ちが分かるからこそ、これ以上の言葉は掛けない。
ふぅと息をついた要は加奈子の手を握る。
「帰ろう。今日起こったことを早く君に話したい」
「はいっ……私も早く聞きたい!」
加奈子は、要に引っ張られるまま立ち上がる。
そして、呆然としている幸太郎をチラと見た。
「あの……幸太郎くん…驚かせてごめんね?」
照れたような、あどけない表情の加奈子に、幸太郎は少し顔を引き攣らせて、いえいえと言って、小さく項垂れる。
そして、タッパーを掴んだ要は、そのまま加奈子の手を引いたまま廊下へと歩みを進めていた。
まだわずかに残る社員が、その姿を目にして、目を丸くしている。
それでも構わず堂々としている要に、加奈子の胸がキュンキュンと鳴って止まらない。
そして、エレベーターに2人で乗り込み、扉が閉まると要は耐えきれないとばかりに加奈子のことを抱きしめた。
「ふくしゃちょっ…!? だ、誰か乗ってきたらっ…」
「ごめん、我慢できなくて」
そう言いながら、加奈子の頬にキスを落とした要はさらに強く加奈子のことを抱きしめる。
「本当に………美しい赤子だったよ」
「……そう、なんですね。私も…早く会いたい」
微笑みながら、加奈子も要を抱きしめ返す。