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さらに近くてもっと甘い
第16章 アイドルの交代
目に入ったのんちゃんのオモチャを掴んだ僕はそれをひかるに渡した。
「ひかる……いつものんちゃんこれ好きだから…もしかしたら」
「ん、あぁ」
僕からその小さなマラカスを受け取ったひかるは、それを振ってのんちゃんを宥めようと必死にしている。
お姉ちゃんもひかるも、ずっとのんちゃんの相手をしていて大変そう。
ここに僕がいる意味はあるんだろうか……
泣かせてしまったのは僕だけど、泣き止ませることもできない。
悲しくなって後ずさると、背中にトンっと何かが当たって僕は振り返った。
「おぉ、隼人、どうかしたのか?」
「かなめ……」
ひかると一緒に、この家に来たんだろう。
かなめは僕の頭を撫でると、お姉ちゃんとひかるの方を見てククっと余裕そうに笑った。
かなめはいつもそうだ。
みんなが慌ててても、1人だけ落ち着いてる。
「望ちゃんずっと泣いてるの?」
「あんまりかわいいから、寝てるのに触っちゃって……そしたら泣いちゃって……」
全部、僕のせいだ。
反省していると、ふーん…と声を漏らしたかなめは、また僕の頭をわしゃわしゃと撫でる。そして、そのまま慌てふためく2人の元へと歩いていった。
「真希さん、お邪魔しています」
「か、要さんっ……!ごめんなさい、望が泣いてばっかで気づかず…」
焦るお姉ちゃんに、かなめはいえいえ、断るとそのまま両手を出してお姉ちゃんに向けた。