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さらに近くてもっと甘い
第16章 アイドルの交代
「あまり…無理をするな」
手を重ねたひかるが、お姉ちゃんに優しく呟く。
すると、お姉ちゃんはそのままスーーッと静かに涙を流した。
「────────…」
お姉ちゃんは、僕の前では滅多に泣かない。
強くて、優しくて……いつだって僕のことを守ってくれて…
だけど今、すごく疲れた様子で涙を流している。
それが思ったよりも衝撃で、体が固まった。
「ごめんなさいっ……こんなことで泣いて…母親失格ですね…」
弱気なことを言うお姉ちゃんを見つめたひかるは、そのまま椅子に座るお姉ちゃんを優しく抱きしめた。
「そんな事はない。お前は良くやってる」
「でもっ……要さんならすぐ泣き止むのに、わたしがいくらあやしても、望は……っ」
「真希さん、僕はあのじゃじゃ馬な2人の妹がいるんですよ。昔よく世話をしていたから、女の子には慣れているだけです」
「そうだ、関根はただの女たらしだ!」
訳の分からないことをいうひかるに、かなめは、目を細め、お姉ちゃんは泣きながらフッと笑う。
ちょっとだけ和やかな雰囲気になったところで、僕はこっそりと部屋を出た。
お姉ちゃんとひかる、そしてのんちゃん。
新しく出来た、『家族』
その中に、僕は………?
何故だか、悲しくて、それでいて寂しい気持ちが胸いっぱいに広がる。
ため息を吐いた僕は、自分の部屋に戻って思わずベッドの上に寝転がって、静かに泣いていた。