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【R-34】
第12章 『不知夜月』
結局彼女は夕方までの休日半日を潰してしまった。

『すまない。この埋め合わせは、いつかするから……』


ベッドから体を起こして圭吾が言う。

『はいっ!期待して待ってますね』



その笑顔に、こちらまで期待してしまう。


『だから主任は、早く熱治してくださいね』

『ああ、そうするよ』


玄関まで見送ろうとベッドから足を降ろす。


『ダメです!ちゃんと寝てくださいっ。鍵は、明日も……きっと熱下がらないと思いますから……その、ご飯作りに来ますから……あの、預かってちゃ、ダメですか?』

明日も……。


どれだけ上司思いだよ、と彼女の優しさが叶わぬ恋を中々圭吾に諦めさせてくれずに、眉尻を下げて情け無く笑う。


『やっぱり……ダメですか?』


彼女まで困り顔になって圭吾に伺いを立てていた。
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