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【R-34】
第12章 『不知夜月』
まだ熱は多少あるからか夢と現を行き来する。

その中で何度か、彼女が夢に出てくる。


二度は艶かしい姿で。

一度は、昨日のようにベッドの脇に腰を落として髪を撫でる。


こんなに眠ったのはいつ以来かと思うほどの満足感で圭吾は気持ち良く目覚めた。


気付くと外は既に暗くなり掛けていたが、部屋の明かりは付けられていなかった。

彼女ももう帰ったのかと思って身を起こそうとして気付く。


その握られた柔らかな手。


彼女の頭は自身の腕を枕にしてベッドの上にもたれており、スヤスヤと気持ち良さそうに寝息を立てていた。

かっと体が熱くなる。


まさか俺からその手を握ったのか?

求めるようなことを口にはしなかったか?


夢の中で彼女が囁いた『圭吾さん……』の言葉が耳朶をくすぐる。
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