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【R-34】
第5章 知られた秘密
「……それ、何て言う本?」

「……書いたのは悪かったと思ってる。本当よ?」


「だから、何て言う本?どこまでを赤裸々にかいたのか、俺にだって確かめる権利、あるだろ?」


その本のタイトルを、聞かずにいられない。

「だっダメ!!それだけは言えない。言ったら、圭吾さん読むでしょう?……私の考えてる事、覗き見されてるみたいだから……恥ずかしいっ」


言っておでこの上で頭を隠す仕草を見せる。


「……揚羽。深山揚羽……」

圭吾が発したその一言で、真奈の顔色が一瞬で変わった。


「……どうして……それ……」

真奈のペンネーム。


彼女の声が震える。


彼は既に読んでいる!?

「……道理で。読んでいて、自分のセックスと何が違うんだって思った」



ミヤマカラスアゲハ。


昆虫好きの圭吾が、蝶の中で一番美しいと以前に真奈に話したことがあった。

小説のタイトルはうろ覚えでも、作者の名前はしっかりと記憶に残っていた。



この作者も、その蝶を思って名付けたのかと。
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