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溢れる好きと君へのキス
第2章 **
「帰るか?11時回ったし。十分に飲んだし、お前疲れてるし。明日だって忙しいし、電車あるうちにーーー」
「だから無理ですってばぁ、同棲してたんですって」
「お前の家だろ?」
「あんな部屋に帰りたくありませんっ!」
確かにそんな部屋に帰らせるのは心が痛む。
「じゃあホテルとろう。一緒に行ってやるから。」
「えええええホテルですかあああ!ん…へんたぃ…」
「寝るなおい!寝るな!違うよ!送るって意味だよ!」
好きな女がこんなに酔うまで傷ついているのに抱けるか。
「じゃあ俺んちか?無理だろ?」
「…無理なんですかぁ?」
ドキッとした。酒のせいで赤くなった頬でその言葉はずるい。
「お前が無理だろ?男だぞ、俺は。ほらホテルな。」
と言ってもなかなか立とうとしない彼女を見る。また涙がじんわり溢れている。どうしようも出来ず、しゃがんで頭をぽんぽんっと2回ーーー
「触んないでください!」
下を向いていたのをいきなりガバッと起きたため、顎にぶつけられそうになる。
「ごめん触ったのはごめんな、だからーーー」
「嫌です!いや…」
「ごめんな、もう触んないから。ほら、帰ろう?」
「…あいつ…松野さんなんかよりもぽんぽん上手でした!キスだって上手でした…!」
「一回黙れ、片山。」
これ以上喋らせると聞きたくないところまで聞こえてくると思った。キスだってそんなこと聞きたくない。まず俺はお前にキスしたことはない。
「帰るぞ?」
「んん…はい…」