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溢れる好きと君へのキス
第2章 **
タクシーを拾い近場のビジネスホテルに行くと部屋は満室、並びのホテルも軒並み満室だった。酔った彼女は歩くのももうすぐ限界だろう。
「やっぱ…俺んち…くるか?」
「だから私言いましたよぉ…ん…」
「しょうがないか…」
もう一度タクシーを拾う。出費が痛いとかそんなことも気にできないくらい彼女を部屋に入れることで頭がいっぱいいっぱいだった。
マンションの前で止まった車にお金を払って1009号室とボタンを押し暗証番号を入れる。割と高層階ですね…と呟く彼女をしーっと黙らせ、エレベーターに乗った。
「松野さん…」
「ん?嫌か?俺ネカフェ行く気でいるけど。」
「違います…あ…頭…やっぱし…ポンポンしてください」
2人きりのエレベーター。小さい声だが聞き取るには十分すぎた。そっと頭に右手を乗せる。
「あったかいですね、手…」
自分の心拍数が伝わってしまうんじゃないかとすぐに手を戻してしまった。
10階について家に入ると、彼女は玄関でじっと立っていた。さっきよりも目がはっきりしている。醒めたか。
「松野さん、あのっ、やっぱり!」
「いいってば。上がって?今お風呂入れるから。」
「おふっ…いいですごめんなさい!迷惑かけまくって!申し訳なさすぎて!」
「とりあえずそこ声響くから上がれよ」
丁寧にパンプスを揃え、部屋に上がってもなお入り口のドアのふちにぴったりくっついている。