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溢れる好きと君へのキス
第2章 **

シャワーいただきましたぁ〜!と朗らかな彼女はさっきの覚醒モードが終わってすっかり酔っ払いに戻ったらしい。テレビの前のラグにぺたんと座る。いつも家でこうなんだろう。ドライヤーを取りにいき、手渡しながら、なんか欲しいものあるか?と尋ねる。

「だいじょぶですよ松野さん!元気ですから私!」

滴る水が出したばかりからか、まだ水を弾くTシャツを滑っていき胸元で水色の布地を青く染めた。思わず水滴を追っていた目を逸らす。

「…シャワー行ってくるから…寝てていいぞ…寝ててくれ…」

こんなことで焦っている自分、中学生か!とツッコミを入れてさっさと風呂場に向かう。まだ湿度の高い風呂場に心だけでなく身体も焦り出す。

“信じてるんで”

の言葉は絶対裏切れない、とどうにか落ち着けてリビングに戻る途中テレビの音がした。一歩一歩近づくとぷちっと隠すようにテレビを消す音。リビングに辿りつくと、リモコンを隠すように俯く彼女が座っていた。すっかり髪も乾かし終えたようである。

「見てもいいぞ、テレビ。」
「…バレましたね…」
「そんなテレビくらい隠すことでもないだろ?」
「じゃあ…遠慮なく…」

ドライヤーを回収して洗面所に髪を乾かしにいく。反応が可愛くていちいち鼓動が高まる。いやだから中学生か、ともう一度ツッコんでさらさらと髪を乾かした。

もう一度リビングへ戻ると、片山は芸人たちのトーク番組を見てクスクス笑っていた。リビングからサイダーを持ち出して横に座ると心なしか申し訳なさそうに小さくなる。暫しの沈黙。
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