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溢れる好きと君へのキス
第4章 ****


「きゃあ!離してよ!」

右手で胸を揉みしだかれ、左手は腰に回された。耳元で囁かれる。

「俺ら別れてもいいけど、セフレになんね?お前の身体いいんだよ。このEカップの胸も、すぐ感じちゃう耳も」

吐息がかかるだけでいつも声が我慢できなくなっていたのに今日は全く感じない。胸もただただ痛いだけだ。想っていないだけでこんなに違うものなのか。

「やめなさいよ!!」

いくら感じなくてもこれより先に進んでしまったら。そんなことを考えていると左手がだんだん降りてきて太ももの内側に入りこんできた。人差し指でスーッとなぞる。

「やめ…!」
「なんだ感じてんじゃん、ちゃんと。このまましちゃう?」
「人の会社でなにしてんのよ、やめてっ…」
「背徳感?興奮する?」
「しないですから!…っ!」

お尻にグッと当たっているものを擦りつけてくる。本当にここでする気なのか。いけないと思えば思うほど気持ちとは裏腹に身体が反応する。


「だからしないってんでしょ!!!!!」

「片山!!!!」

大声で叫んだのと同時にカタカタと階段を降りてくる足音、そして松野さんの声が聞こえた。
現れたのは3人の警備員を引き連れた松野さんだった。警備がすぐに粉吹木を羽交い締めにし、そのまま松野さんに「連れていきます」と会釈して階段を降りていった。
一瞬の出来事すぎて頭の反応が追いつかない。
松野さんに顔を覗きこまれ目があった瞬間、へたり込んでしまった。

「片山」

しゃがんで目線を合わせてくれた松野さんに頭を撫でられる。

「…ううっ…」
「怖かったな、もう大丈夫だ」

しばらくそのまま私は泣き続けていた。

-

デスクに戻ると、部長に警備室から内線が入ったらしく確保した粉吹木は会社に連絡を入れられ即時解雇されたらしい。被害届けは任せると言われたがそれが原因でストーカーされるかもしれない、と思って出さないことにした。
松野さんは、戻った藍ちゃんがすぐに伝えたらしいが電話応対中ですぐに行けなかった、と言っていた。
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