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溢れる好きと君へのキス
第1章 *

入社してから営業部で1番お世話になっている上司の松野さんは優しすぎるくらい優しい。
なのに仕事にはストイックで
“この人プライベートではSなんだろうな”
と入社して最初の1週間で感じた。
それから月日は経ち3年目の春。
私は、28歳の若さでありながら営業部宣伝事業部門においてイベント収益成績ナンバーワンの彼のアシスタントとなった。
塩顔イケメン可愛い系を代表するような顔だちと中低音の声が実績に相まって、何人の女性を虜にしてきたかわからない。
去年のバレンタインに頂いたお菓子は膨大な量で、
仲のいい同僚が「松野収穫祭」と銘打って彼の自宅に押しかけ
3日間もお菓子をつまみに飲み会をしたらしい。
アシスタントについてからまだ5ヶ月だが周りの女の先輩から仲良くされることが増えた気がする。

「ふうちゃん!お疲れさま!」

資料室から出ようとしたところを入れ違いで入ってきた上原さんに声をかけられた。急にふわふわした思考から現実に戻される。

「お疲れさまです、麻友さん!」
「どうしたの?見つかった?資料!手伝おうか?」
「見つかったので大丈夫です。ありがとうございます」

いつも何かあると助けようとしてくれる上原さんは松野さんの同期であり、松野さんことが大好きである。
本当に優しい。5ヶ月前から特に。
例の収穫祭にもかなり貢献していた。

「デスクにいなかったけど、光晟くんは今日外回り?」
「はい、松野さんさっき出られました。」
「そっかぁ…じゃあ楓花ちゃん頑張ってね!」
「ありがとうございます」

松野さん含め、先輩たちは”松野光晟大好き“キャラだと思っているが本当のところどうなのだろうか。
まあ自分には関係ないかっ!とフロアに戻って頼まれた作業を開始した。
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