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溢れる好きと君へのキス
第1章 *

ーーー

隣のデスクにトンっとカバンが置かれる。

「お疲れさまでした!」
「ただいま戻りました。できた?」
「一応まとまってます。お昼食べたらでいいのでチェックお願いします」
「俺食べてきちゃったから今やっちゃうよ、いいよ休憩入って。
午後打ち合わせ3件も入ってるから忙しくなるし。」
「じゃあこれ、お願いします」

朝買ったコンビニ袋とスマホを持ってラウンジへ降りる。
自分は校閲をしたり挿絵を扱ったりする部門ではないが、
基本デスクでの飲食が禁止されており
“小さなおやつも各フロアの飲食スペースで食べる”
というのがうちの会社の遵守すべきルールだ。
そのためラウンジにはいつも人が多い。
課に関係なく色々な人と話して視野を広げるんだ、と随分前に松野さんに言われた。

窓際のカウンター席に座ろうと椅子を引くとスマホが震え出した。嫌な予感しかしない…表示されたのは。

「「 松野 」」

おそるおそる電話に出る。
「ごめっ、打ち合わせ早まったんだ、あと15分でコミックコラボのグッズの試作品を持ってきてくれるから、!帰ってきて!」

そんなバナナ。

「早く!」
「はいすぐに!」

15分なんて急な話すぎる。
相当松野さんも焦っていたから緊急かもしれない。
椅子を戻して、小走りで4階分を一気に階段をかけ上がった。
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