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溢れる好きと君へのキス
第1章 *

「それでは第一回試作会議をはじめさせていただきます。」

会議に加えて、さらに私には目線を避けるという小戦も加わり、大合戦の火蓋が松野さんの声により切られた。

ーーー

コストと質は双方譲れないものがあり、
一応は話がついたがまた日程を合わせる必要がありそうだ。
お開きになりエントランスまでお送りする。
エレベーターのボタンを押してドアを開け乗り込んで階数ボタンの前に立つ。
松野さんは後ろのほうで御子息と会話していた。
エレベーターを降りてクリアなガラスから先方の後ろすがたが見えなくなった頃
私より15cmほど上から声が降ってきた。


「あのセクハラボンボンめ」


…えっ?



思わず耳を疑った。
セクハラボンボンなんて言葉が出てくるとは!

「お前、あいつが入ってきた時からずっと変な目で見られてたろ?
気づいてたのになんもできなくってごめんな。
とりあえずエレベーターでは触られるの防げたけどほんとごめん。」
「エレベーターで後ろに松野さんが立ってくださって
ほっとしてて…お気づきだったんですね…!
ごめんだなんて…
気遣っていただいてほんとにありがとうごさいます」
「いや全然。だからちょっと向こうに攻撃的になりすぎたよな。
まぁ譲りたくないとこだしいいんだけど。」

2人でエスカレーターを降り
オフィスに戻ると机の上にはお昼から置きっ放しの…

「あっ…」
「どうした?」
「お弁当食べてないの忘れてました…!」
「そうだよな、ごめん急に入れちゃって。
会議室もとってきてくれたし、データがSDカードなの考えてパソコンもちゃんとやっといてくれたし、ほんと助かったよ。
昼食べておいで。次の打ち合わせまでまだあるし。」
「行ってきます!」
「おう」

ニコッとしてくれた松野さんにお辞儀して
数時間越しのお昼を食べるためラウンジを目指した。
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