この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
キミの体温 ボクの吐息
第5章 距
思わず出たその言葉に、これ以上は待てなかった、と
自分自身を納得させる。
ゆっくりと目を閉じて大きく息を吐き出した。
「新田くんっ、ごめんなさい」
聞き覚えのあるその声に
夢じゃないだろうかと、瞼を開けるのを一瞬ためらった。
夢なら覚めないでほしい。
ゆっくりと開いた瞼のその向こうに
息を切らして、コートも脱がずに立ちつくす彼女の姿があった。
「遅れてごめんなさい。
会社でトラブルがあって、この時間になっちゃったの」
来て、くれただけでいいんだ―――
言葉が喉に張り付いて、声にならない。
「もう、今からお料理は無理よね」
まばらになった客席を見て
申し訳なさそうに謝るけど。
クリスマスディナーなんて、興味はないんだ。
キミが俺のそばにいてくれれば、何も要らない。
その時、先ほどからワインを継いでくれているウェイターがそっと来て
「新田様、失礼ですがテーブルの上に置かれているのは当ホテルのルームキーでしょうか?」
あぁ、そうだ。
使うあてもないのに1年前から、このホテルのディナーと部屋を予約した加賀が
今年も彼女が出来なかったから譲ってやると
ディナーの席と一緒にホテルの部屋も譲ってくれたんだっけ。
自分自身を納得させる。
ゆっくりと目を閉じて大きく息を吐き出した。
「新田くんっ、ごめんなさい」
聞き覚えのあるその声に
夢じゃないだろうかと、瞼を開けるのを一瞬ためらった。
夢なら覚めないでほしい。
ゆっくりと開いた瞼のその向こうに
息を切らして、コートも脱がずに立ちつくす彼女の姿があった。
「遅れてごめんなさい。
会社でトラブルがあって、この時間になっちゃったの」
来て、くれただけでいいんだ―――
言葉が喉に張り付いて、声にならない。
「もう、今からお料理は無理よね」
まばらになった客席を見て
申し訳なさそうに謝るけど。
クリスマスディナーなんて、興味はないんだ。
キミが俺のそばにいてくれれば、何も要らない。
その時、先ほどからワインを継いでくれているウェイターがそっと来て
「新田様、失礼ですがテーブルの上に置かれているのは当ホテルのルームキーでしょうか?」
あぁ、そうだ。
使うあてもないのに1年前から、このホテルのディナーと部屋を予約した加賀が
今年も彼女が出来なかったから譲ってやると
ディナーの席と一緒にホテルの部屋も譲ってくれたんだっけ。