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キミの体温 ボクの吐息
第1章 ふ
確かに。男はほとんどが濃紺のダブルのスーツに髪を固めていた。

「近頃は大学生もスーツ着てるからな」
「ふぅん・・・大学生がスーツねぇ」

週に1度はここに通って、少し飽きてきたか?
同じような音楽に
同じような女の子。
同じような時間の流れに、少し飽きてきた。

それでも、毎週女の子をナンパして
名刺を配りまくる加賀はある意味すごいと思う。

「お前、あんまり会社の名刺配るなよ?」

それでも、良いと思った女の子と連絡を付けるには
家の電話か、会社に電話をもらうしかなくて
手っ取り早い会社の名刺を渡すことが多い。

1時間も男同士で話していれば、加賀はやっと好みの女の子を見つけたようで
「俺、抜けるから。じゃ、新田またな」
と手を振って俺から離れて行った。

「よくやるよ」
俺はそう笑いながらつぶやいて、そろそろ帰るか。と
フロントにタクシーを呼んでもらう。

タクシーを待っている間、ぼんやりマルボロを吸っていたら
女の子が中から飛び出してきてぶつかりそうになる。

「え?白石?」
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