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愛しい記憶
第9章 初恋(回顧)



あどけない顔に乗せられた化粧。



元々長いまつげは上を向いて、大きな瞳をさらに大きく際立たせている。



普段は着ているのをあまり見ないスカート。




胸がざわついて、何を探していたか分からなくなった俺は、誤摩化すようにして取り出したお茶をコップに注ぐ。





「あ、友也、私にもちょーだい!」



母さんの鏡台に座りながら、鏡越しに俺の動作をみたのか、姉ちゃんがそう言った。





「……自分でやれよ」




「なんでよー!それくらいやってくれてもいいじゃん!」





耳元を見ながら、ユラユラと揺れるピアスを付ける。




いつ開けたのかも知らないピアス。




むしゃくしゃしながら、コップにお茶を入れて、姉ちゃんの方に持っていった。

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