この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しい記憶
第9章 初恋(回顧)
「ありがと」
ニコリと微笑まれて、テラテラと光っている唇を見つめる。
かき乱されて仕方が無い。
こんな感情はおかしい…──
「ブサイク」
俺がそう言い放つと、え?と言いながら、姉ちゃんは顔を上げた。
目がこぼれ落ちそうなほどに大きい。
化粧なんてする必要ない。
一体誰のためにそんなに着飾っているんだ。
「なに、男?」
堪えきれずに、そう尋ねると姉ちゃんはポッと頬を紅く染めた。
その表情に、胸が痛んで、グッと拳を握る。
「物好きも…いるんだな」
「……なにそれどういう意味」
姉ちゃんの言葉に何も言葉を返さずに、俺はお茶を飲み干した。