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愛しい記憶
第9章 初恋(回顧)
そのあと、少しして姉ちゃんが廊下に出た音がして、俺はわざと部屋から出た。
「友也っ……」
慌てた姉ちゃんは、目を見開いて俺のことを見つめた。
「かっ…帰ってたの…っ」
あぁ…と返事をして、その後ろでこちらを見てくる男を眺めた。
髪は短くて、多分姉ちゃんと同じくらいの年齢。
ガタイがいいのはきっと何かのスポーツをしているからなんだろう。
「君が友也くん?」
爽やかな笑顔を見せる奴をジッと眺めて、どーも、と言葉を返す。
こいつが、姉ちゃんにあんな声を出させていたのか……
そんな事を考えて、姉ちゃんに目を向けた。
恥ずかしそうに頰を染めている。
初めて見た姉ちゃんの女の顔。
そのあと、姉ちゃんがその男の名前やら何やらを紹介していたけれどまるで頭に入らなかった。