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愛しい記憶
第9章 初恋(回顧)



「楓ちゃんっていうの…?」




「はい……」





付き合ってからしばらくして、俺はわざと姉ちゃんが家にいる日に楓を家に呼んだ。




「かわいいね」




そう言って、姉ちゃんは俺のことを見つめた。



何を思っているのか、全く読めない。



何とも思ってなさそうな、そんな気がしてイライラが募る。





「わっ……」




姉ちゃんの前で、楓の腕を乱暴に掴むと俺はそのまま楓を自分の部屋に引き連れた。




初めてのキス。




初めての女の感触。




想像していたもの以上であるにも関わらず、心と欲が満たされない。








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