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愛しい記憶
第9章 初恋(回顧)
その日の夜。
やはり喉が渇いて、キッチンに行くとぼんやりとコンロを眺める姉ちゃんがいた。
マグカップにティースプーン。
火にかけられたやかん。
俺の気配に気付いた姉ちゃんは顔を上げて、友也…と俺の名前を呼んだ。
「……どうしたの…?」
「のど乾いただけ」
「そう……」
小さくそう呟いた姉ちゃんの様子が、いつもと違っていた。
相変わらずの、部屋着のショートパンツ。
温まりたくて飲みものを入れる前に、まずその露出された足を覆うべきだ。
「……楓ちゃんと…」
沈黙が流れる中、それを破るように姉ちゃんが口を開いた。
「いつから付き合ってるの…?」